前立腺肥大

症状

前立腺肥大とは、膀胱の下にある前立腺(男性だけにある生殖器の1つ。生殖活動のためには必要な臓器であるが、前立腺がなくても生きていくことは可能である。)が大きくなり体積が増える(肥大)ことによって、尿道を圧迫し、排尿(オシッコ)障害を起こす病気です。

症状としては、以下の項目などが挙げられます。

①トイレが近い(頻尿。昼間であれば、約8回以上行く場合)
②オシッコ(排尿)をした後でもすっきりしない(残尿感がある)
③オシッコ(排尿)をしている時に途中で途切れる
④オシッコ(尿)の勢いが弱い
⑤オシッコ(尿)が一度に出ない
⑥急にオシッコ(排尿)がしたくなって、もれそうで我慢できない
⑦我慢できずにオシッコ(尿)をもらすことがある
⑧オシッコ(尿)が出始めるのに時間がかかる(出したくてもなかなか出ない)
⑨お腹に力を入れないとオシッコ(尿)が出ない
⑩夜中に何度もトイレに起きる(就寝後1回以上起きてオシッコに行く)

症状

前立腺がなぜ肥大するのかは、現在では、原因がはっきりと解明されていません。
しかし、前立腺肥大と診断される頻度が、30歳代から始まり、特に50歳代から加齢とともに増加しています。
肥満や高血圧、高血糖及び脂質異常症と前立腺肥大の関係が指摘はされており、さらにメタボリック症候群との関係もあるのではないかと様々な説は出ています。

加齢にともない前立腺肥大の患者さんが増えているというデータと研究から「男性ホルモンの働き」が関与していると考えられており、中高年になって男性ホルモンの環境変化が起こることによって症状が出てくる可能性もあるようです。

診断・治療法

<診断・検査>

排尿に関して、日常生活に支障が出ているようでしたら、早めに医療機関を受診することをお勧めします。
前立腺肥大を疑う場合、まず最初に問診を行います。
症状と程度がわかった次には、初診時には、血液検査、尿検査、腹部エコー検査などの検査を行い、前立腺や膀胱、尿道の状態を調べます。
排尿障害があったからといって、必ずしも前立腺肥大症というわけではありません。他の病気の可能性も含めて検査をして確認していきます。不安がらずに医療機関の受診をまずは行いましょう。

<治療法>

前立腺肥大と診断された場合の治療方法ですが、大きく分けると「薬物治療」、「手術治療」、「保存治療」の3つがあります。
前立腺肥大は、症状が軽ければ、基本的には、まず薬物治療が行われます。しかし、前立腺肥大の症状が重度の場合や放置をして悪化している場合、または、前立腺肥大とともに、尿路結石や膀胱結石、肉眼的血尿、尿閉、腎機能障害などの合併症が見られる場合には、手術治療を行います。
薬物治療
α1受容体遮断薬
前立腺肥大は、尿道を圧迫して排尿障害を起こしている状態です。前立腺や尿道の筋肉をリラックスさせる働きのあるので、排尿障害の改善が期待できます。症状が軽いケースでは早期改善が望めます。

抗男性ホルモン薬(抗アンドロゲン薬)
前立腺肥大を引き起こす男性ホルモンである「テストステロン」の分泌を抑える薬です。前立腺の肥大を抑え、排尿障害を改善することが期待できます。ただし、服用開始から効果が現れるまでに数か月かかり、服用を中止した場合再び肥大していきます。

漢方薬
漢方薬の中には、排尿障害に効果を発揮するものがいくつかありますが、患者さんの体質等によって変わってきますので、ご相談ください。
手術治療
内視鏡手術
薬物治療を行っても充分な効果が現れない場合や症状がひどい場合には、尿道から内視鏡を入れて肥大した前立腺を電気メスや切除ループ、レーザーによって切除します。

マイクロ波高温度治療
カテーテルを尿道から挿入し、カテーテルから前立腺組織にマイクロ波を発射して、熱によって死滅させて小さくする手術です。

開腹手術
前立腺がとても大きくなっている場合には、前立腺を全て摘出するために開腹手術をして前立腺を取り除きます。

尿道ステント
ステントという筒状のものを前立腺が大きくなっていることによって圧迫されている尿道に留置する方法です。
体を傷つける可能性は低いので、安全性も高いですが、合併症も多いため、内視鏡を操作して行う手術ですが、以下の行う条件があるので、限りがあります。
  • 寝たきりの状態
  • 全身の状態がよくない
  • 手術が困難な場合
保存治療
保存治療としては、生活習慣を改善するために生活指導を行います。食生活や運動を改善することによって、排尿障害の改善を期待します。
例えば、長時間座っていること、長時間体を冷やす(長時間の水泳など)、アルコールの大量摂取、過剰な水分摂取などはあまりよくありません。
適度な運動と食生活の改善により治療を行っていきます。
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